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大阪府公立高校入試(一般入学者選抜)の社会では、「地図中のどの都市が、北緯◯度・東経◯度に最も近いか」「位置の説明に当たる国はどれか」のように、世界の国・都市・大陸や州の位置を答える設問が、2023〜2026年(令和5〜8年度)の4年続けて出ています(2022年度=令和4年度には、この記事で扱う型に当たる設問はありませんでした)。この記事で取り上げた5問の得点率は43.0〜53.3%で、どれも半分前後です。
ここからは、オリジナルの例題で、問題文の手がかりを書き出す(緯度・経度なら「北か南か・東か西か」に分ける) → 赤道・本初子午線・日本などの目じるしに当てはめる → 手がかりをすべて満たすか確かめて答える(選択肢があるときは、合わないものを消す)の3つの手順を、1問ずつ確かめていきます。
※この記事の例題・練習問題は、大阪府の入試問題の形式にならって作ったオリジナル問題です。図は経緯線や方位だけをかいた模式図で、陸地はかいていません。都市の緯度・経度は一般に使われている値を丸めたもので、東京からの距離と方位は地球を球として筆者が計算した、だいたいの値です。過去の入試問題の文章・設問文・地図・選択肢は使っていません。
連載「入試によく出る問題」:社会の回の15本目です。前の回は 「◯世紀の世界のようす」の解き方(14本目)です。
16本目は 「時代ごとの文化」の解き方 です。
4年分の出題と得点率
府が公表している設問別の表から、世界の国・都市・大陸や州の位置を答える設問を選び、問題用紙と採点資料で形と配点を確かめました。
| 年度 | 位置 | 内容(府の表の表記) | 問題の形 | 配点 | 得点率 | 無答率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 3⑴① | 首都の位置 | 地図中の5つの首都のうち、指定された緯度・経度に最も近いものを1つ選ぶ | 2点 | 48.3% | 0.0% |
| 令和6年度 | 2⑶② | 南アメリカ大陸の位置の読み取り | デリーを中心にした正距方位図法の地図で、ブラジルがある大陸を4つから1つ選ぶ | 3点 | 53.3% | 0.3% |
| 令和7年度 | 2⑴②⒝ | 東南アジアの国の位置 | 4か国の国土の位置の説明から、タイに当たるものを1つ選ぶ | 2点 | 43.0% | 0.3% |
| 令和7年度 | 2⑵②⒝ | 常任理事国の首都が位置する州 | 安全保障理事会の常任理事国の首都がある州を、6つから3つ選ぶ(完答) | 2点 | 52.6% | 0.7% |
| 令和8年度 | 1⑴②⒝ | メキシコ | 大陸の中の位置と、となりの国の説明から、国の名前を書く | 2点 | 48.6% | 公表なし |
出典:大阪府教育センター「合格者の学力実態調査」(令和5〜7年度・合格者から選んだ人の答案。得点率と無答率)、大阪府教育センター「大阪府公立高等学校一般入学者選抜学力検査受験者の学力実態調査」(令和8年度・受験者全体。得点率と配点。無答率は公表なし)。令和7年度以前と令和8年度では、もとにしている答案の範囲がちがうため、得点率の上下だけで年度ごとの難しさは比べられません。「問題の形」は各年度の学力検査問題(社会)と採点資料を筆者が確かめてまとめたもので、問題文・地図・選択肢は載せていません。どの設問をこの型に入れるかは筆者の分け方で、日本の地図の中の位置(令和6年度の種子島など)や、歴史で文化が伝わったルートを地図で選ぶ設問は数えていません。
形は、緯度・経度で選ぶ(令和5年度)、中心からの方位と距離が正しい地図で選ぶ(令和6年度)、位置の説明から国を選ぶ・書く(令和7・8年度)など、年によってちがいます。これらの問題に備えるには、国や都市の名前とともに、「どのあたりにあるか」を目じるしと結びつけて覚えておくことが大切です。
この4年分の問題を、解説を読む前に自分で解いてみたい方は、大阪府公立高校の最新の過去問(2027年度受験用)がこちらです(収録されている年度と問題の種類は、商品ページで確かめてください)。
位置を読む「3つの手順」
筆者は、次の3つの手順で解くことをすすめています。
手順② 知っている目じるし(赤道・本初子午線・日本の位置・となりの国や海)に当てはめる
手順③ 手がかりをすべて満たすか確かめて答える(選択肢があるときは、合わないものを消す)
緯度・経度を読むときの基本の目じるしは、次の表のとおりです。国の位置を説明する問題では、これに加えて、となりの国や面している海を目じるしにします。
| 目じるし | 位置 | 使い方 |
|---|---|---|
| 赤道 | 緯度0度 | これより北が北緯、南が南緯 |
| 本初子午線 | 経度0度(イギリスのロンドンを通る) | これより東が東経、西が西経 |
| 日本 | 北緯約20〜46度・東経約122〜154度 | 北緯・東経の数字を、日本からどれだけずれるかで考える |
| 日本の標準時子午線 | 東経135度(兵庫県明石市を通る) | 東経の数字の目じるし |
中心からの方位と距離が正しい地図(正距方位図法)が出たときは、中心から各地点までの方位と距離が正しく表されていることを手順②の目じるしにします。中心以外の2地点の間では、方位や距離が正しいとは限りません。
例題(オリジナル問題)
⑴は令和5年度の形(緯度・経度に最も近い都市を選ぶ)、⑵は令和7年度の形(位置の説明から国を選ぶ)にならった問題です。都市や国は、過去問や有料の模擬問題とはちがうものにしました。⑴は地図を使わず、都市の名前から考える問題にしています。
ア サンフランシスコ イ ペキン(北京) ウ パース エ ロンドン
⑵ 次のア〜エは、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ペルーのいずれかの国の位置について説明したものである。ペルーに当たるものはどれか。一つ選びなさい。
ア 南アメリカ大陸の南東部にあり、西はアンデス山脈をはさんでチリと接し、東は大西洋に面する。
イ 南アメリカ大陸の西岸に沿って南北に細長くのび、東はアンデス山脈をはさんでアルゼンチンと接する。
ウ 南アメリカ大陸の北西の端にあり、北はカリブ海、西は太平洋に面し、北西はパナマと接する。
エ 南アメリカ大陸の西部で太平洋に面し、北はエクアドル・コロンビアと、南はチリと国境を接する。
まず自分で答えを決めてから、下の解説と見比べてください。
解き方を1行ずつ
解説画像は手順ごとに分けています。画像の上には、その手順で使う例題の問いをのせました。
手順① 手がかりを書き出す

⑴の「北緯40度」は赤道より北に40度、「東経120度」は本初子午線より東に120度という意味です。数字より先に、「北か南か」「東か西か」を書き出します。⑵は、選択肢を読む前に、自分が知っているペルーのまわり(西は太平洋、北はエクアドル、南はチリ)を書いておきます。
手順② 目じるしに当てはめる

日本はおよそ北緯20〜46度・東経122〜154度の範囲にあり、北緯40度・東経140度は秋田県のあたりです。⑴の北緯40度・東経120度は、そこから経度で20度西なので、日本の西の外にあるユーラシア大陸の東部(中国)だと分かります。
手順③ 選択肢を照らして、合わないものを消す


⑴の4つの都市の位置は、サンフランシスコが北緯38度・西経122度、ペキンが北緯40度・東経116度、パースが南緯32度・東経116度、ロンドンが北緯52度・経度0度です。北緯で東経120度に近いのはペキンだけなので、答えはイです。
⑵は、手順①で書いた3つの手がかりと選択肢を照らします。イのチリも西が太平洋ですが、チリは南北に細長い国で、ペルーの南にあります。北にエクアドル、南にチリという手がかりがそろうのはエだけなので、答えはエです。
答え方の比較:どこでまちがえたか
まず、まちがえやすい答え(×)を並べます。

⑴でアを選ぶのは、「40」「120」の数字だけを見て、西経か東経かを確かめなかったときです。ウを選ぶのは、北緯か南緯かを確かめなかったときです。⑵でイを選ぶのは、「西が太平洋」の1つだけで決めてしまったときです。南アメリカの西側には、太平洋に面した国がいくつも並んでいます。

○の答え方は、数字の前の「北・南」「東・西」を先に確かめ、日本の位置を目じるしにして、だいたいの場所を決めています。最後に、選択肢の全部を手がかりと照らしてから答えています。
練習問題(オリジナル問題)
⑴⑵は令和6年度の形(中心からの方位と距離が正しい地図)、⑶は令和7年度の形(位置の説明から国を選ぶ)にならった問題です。
⑴ A〜Dのうち、東京から見た方位を8方位で表したとき、北西にある都市はどれか。一つ選びなさい。
⑵ A〜Dのうち、東京からの距離が1万km以上の都市をすべて選びなさい。

ア イベリア半島の大部分を占め、北東はピレネー山脈をはさんでフランスと接する。
イ 地中海につき出た半島にあり、北はアルプス山脈をはさんでフランス・スイス・オーストリアなどと接する。
ウ ヨーロッパの中央部にあり、北は北海とバルト海に面し、東はポーランドと接する。
エ ドイツの東どなりにあり、北はバルト海に面する。
⑴⑵は、図の中心が東京であることを確かめてから、中心から見た方位と、中心からの距離を読みましょう。


⑴はAです。Aはモスクワで、東京から見た方位は約323度(北を0度として時計回り)なので、8方位で表すと北西です。⑵はC・Dです。距離はCのブエノスアイレスが約1万8千km、Dのニューヨークが約1万1千kmで、どちらも1万kmの円より外にあります。Bのシドニー(約8千km)とAのモスクワ(約7千5百km)は、円の内側です。
日本を中央付近に置いた、緯線と経線がまっすぐな世界地図では、ブエノスアイレスは東京の右下(南東)に描かれることがあります。しかし、東京からの実際の方位は、この図のとおりほぼ真東です。方位を読むときは、中心からの方位と距離が正しい地図かどうかを先に確かめることが、手順②の目じるしになります。
⑶はウです。北が北海とバルト海の両方に面し、東でポーランドと接するのはドイツです。エのポーランドもバルト海に面していますが、北海には面しておらず、ドイツは西どなりです。
まとめ
大阪府の社会では、世界の国や都市の位置を答える設問が2023〜2026年の4年続けて出ていて、この記事で取り上げた5問の得点率は43.0〜53.3%でした。緯度・経度は、数字より先に「北か南か」「東か西か」を確かめ、赤道・本初子午線・日本の位置を目じるしにしましょう。位置の説明の問題では、知っているまわりの国や海を先に書き出し、選択肢の全部と照らしてから答えます。
社会の設問別の得点率を見る
この型以外も含めた設問ごとの得点率(5年分)は、社会の傾向記事で一覧にしています。世界の気候を雨温図で読む問題は、連載の7本目で扱いました。
解説を読んだあとは、同じ形式の問題を時間を計って解き、理解を確かめましょう。過去問の文章や図は使わず、令和8年度と同じ4大問・40問・90点・40分で書き下ろした模擬問題で、解答・解説つきです。令和8年度に得点率が低かった形(資料の読み取りなど)の類題10問と、5年分の設問別の表をのせた傾向分析レポートもついています。
ほかの教科は 塾講師こうの全商品マップ にまとめています。
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この記事を書いた人:現役塾講師のこう。大阪の個別指導塾で勤務、中学受験〜高校受験まで指導歴15年以上。X(Twitter)で更新通知/お問い合わせ