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大阪府公立高校入試(一般入学者選抜)の社会では、世界の国々の農産物・鉱産資源の生産や貿易について、品目や国を見分けて答える設問が、2022〜2026年(令和4〜8年度)の5年とも出ています(府の設問別の表の内容名で調べ、問題用紙と解答用紙で形と配点を確かめました。この基準で5年に計8問)。8問のうち5問は、生産量・輸出品・輸入額を示した表・グラフ・地図を読む形、1問は生産量の順位を述べた文を読む形でした。得点率は、記号を選ぶ6問が52.6〜74.7%、名前を書く2問が28.1%と39.0%です。
ここからは、実際の統計を使ったオリジナルの例題で、上位の国に州と気候をメモする → 作物が育つ条件の知識とつなぐ → 1位が同じなら2位以下の国で見分けるの3つの手順を、1問ずつ確かめていきます。
※この記事の例題・練習問題は、大阪府の入試問題の形式にならって作ったオリジナル問題です。表とグラフの数字は、国連食糧農業機関(FAO)の統計「FAOSTAT」の2023年の生産量(2025年12月更新版・2026年10月23日取得)から筆者が計算したものです。統計は更新されることがあるため、教科書や地図帳の数字とずれる場合があります。過去の入試問題の文章・設問文・図は使っていません。
連載「入試によく出る問題」:社会の回の13本目です。前の回は 「選挙のしくみ」の解き方(12本目)です。
14本目は 「◯世紀の世界のようす」の解き方 です。
世界の生産・貿易の出題と得点率
府が公表している5年分の設問別の表で、世界の国々の農産物・鉱産資源の生産や貿易にかかわる設問のうち、品目や国を見分けて答える8問を取り上げ、問題用紙と解答用紙で形と配点を確かめました(日本の自給率の変化を文で説明する問題などは、この記事の型とちがうので入れていません)。
| 年度 | 位置 | 内容(府の表の表記) | 問題の形 | 配点 | 得点率 | 無答率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和4年度 | 1⑶② | タイとマレーシアの輸出品 | 2つの国の輸出品の割合の表(1984年と2019年)で、X・Y に当たる品目の組み合わせを選ぶ | 2点 | 52.6% | 0.1% |
| 令和5年度 | 1⑴①⒜ | 日本における石油の輸入額の多い国 | 日本の原油の輸入額の上位3か国の帯グラフで、A・B に当たる国の組み合わせを選ぶ | 2点 | 74.7% | 0.0% |
| 令和5年度 | 1⑴①⒞ | オーストラリアの鉱産資源 | オーストラリアの東部と北西部でおもに採れる鉱産資源を、それぞれ選ぶ(完答) | 2点 | 66.4% | 0.0% |
| 令和6年度 | 2⑶① | ブラジルの輸出品 | ブラジルが生産量世界1位の農産物と、日本がブラジルから輸入する鉱産資源を、それぞれ選ぶ(完答) | 3点 | 58.1% | 0.3% |
| 令和6年度 | 2⑶③ | 世界の茶の生産国 | 生産量の上位5か国の帯グラフから、その農産物の名前を漢字1字で書く | 3点 | 28.1% | 5.7% |
| 令和7年度 | 1⑵② | 世界のボーキサイトの生産量 | 鉱産資源の生産量の順位を述べた文の空欄に、世界1位の国名を書く | 3点 | 39.0% | 10.9% |
| 令和8年度 | 1⑶ | 三大穀物の生産量の多い国 | 三大穀物それぞれの生産量の上位4か国の表で、A〜C に当たる穀物の組み合わせを選ぶ | 2点 | 67.8% | 公表なし |
| 令和8年度 | 4⑵① | 鉄鉱石の生産量の多い国 | 生産量の上位4か国を円の大きさで示した世界地図から、その鉱産資源を選ぶ | 2点 | 66.0% | 公表なし |
出典:大阪府教育センター「合格者の学力実態調査」(令和4〜7年度・合格者から選んだ人の答案。得点率と無答率)、大阪府教育委員会の令和8年度の設問別の公表資料(受験者全体。得点率と配点。無答率は公表なし)。令和7年度以前と令和8年度では、もとにしている答案の範囲がちがいます。「問題の形」は各年度の学力検査問題(社会)と解答用紙を筆者が確かめてまとめたもので、問題文・選択肢は載せていません。
掲載した8問の得点率の単純平均は56.6%です。記号を選ぶ6問は5割台から7割台だったのに対し、名前を自分で書く2問(令和6年度の農産物名・令和7年度の国名)は28.1%と39.0%で、低い値でした。問題の内容や年度もちがうので、差が答え方の形だけによるとはいえませんが、名前を書く問題では、選択肢の助けなしに「何の作物か」「どこの国か」を自分で決めきる練習が必要です。
この5年分の問題を、解説を読む前に自分で解いてみたい方は、大阪府公立高校の最新の過去問(2027年度受験用)がこちらです(収録されている年度と問題の種類は、商品ページで確かめてください)。
統計から作物を見分ける「3つの手順」
筆者は、次の3つの手順で解くことをすすめています。
手順② 作物の主な産地・育つ条件・つくり方(大規模な農業など)の知識とつなぐ
手順③ 1位が同じ国になる列は、2位以下の国で見分け、最後に「問われているもの」を確かめる
国名だけを暗記していると、1位が同じ国になる問題で迷います。上位の国をまとめて見て、並び方の特徴を探すのが出発点です。
手順②で使う知識は、次の表くらいを押さえておくと、多くの問題で手がかりになります(中学校の地理の教科書の内容をもとに、筆者がまとめました。2023年の上位国は FAOSTAT で確かめた国です)。
| 農産物 | 育つ条件・つくり方 | 2023年の上位の国(FAOSTAT) |
|---|---|---|
| カカオ豆 | 赤道に近い、高温で雨の多い地域。チョコレートの原料 | コートジボワール・ガーナ・インドネシア |
| さとうきび | 熱帯・亜熱帯の暖かい地域。砂糖の原料。ブラジルではバイオエタノールの原料にも | ブラジル・インド・中国 |
| 大豆 | 広い農地で機械を使い大規模につくる国が上位 | ブラジル・アメリカ合衆国・アルゼンチン |
| 綿花(種を取りのぞいた綿の繊維) | 綿織物の原料。暖かい地域でつくる | 中国・インド・ブラジル・アメリカ合衆国 |
例題(オリジナル問題)
⑴は、令和8年度の三大穀物の問題にならった、上位の国の表から作物の組み合わせを選ぶ問題です。⑵では、関連する燃料の名前を書きます。作物は過去問とちがうものにしました。
| A | B | C | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | コートジボワール | 35.6 | ブラジル | 38.8 | ブラジル | 41.0 |
| 2位 | ガーナ | 12.8 | インド | 24.3 | アメリカ合衆国 | 30.5 |
| 3位 | インドネシア | 12.3 | 中国 | 5.2 | アルゼンチン | 6.8 |
| 4位 | エクアドル | 7.3 | タイ | 4.7 | 中国 | 5.6 |
ア A―カカオ豆 B―大豆 C―さとうきび
イ A―カカオ豆 B―さとうきび C―大豆
ウ A―さとうきび B―カカオ豆 C―大豆
エ A―大豆 B―さとうきび C―カカオ豆
⑵ B の農産物は、表で1位の国では、自動車の燃料の原料にも使われている。B の農産物にふくまれる糖分を発酵させてつくる、自動車の燃料にも使われるアルコールを何というか。「バイオ」で始まるカタカナで書きなさい。
まず自分で答えを決めてから、下の解説と見比べてください。
解き方を1行ずつ
解説画像は手順ごとに分けています。画像の上には毎回、例題の表と問いをのせました。
手順① 上位の国に州と気候をメモする


A の上位4か国は、コートジボワール・ガーナ(アフリカのギニア湾岸)、インドネシア、エクアドルで、どれも赤道に近い低緯度の国です。B と C は、どちらも1位がブラジルです。ここに気づくことが、この問題の分かれ目になります。
手順② 作物が育つ条件とつなぐ


カカオ豆は、赤道に近い、高温で雨の多い地域でつくられるチョコレートの原料で、主な生産国はギニア湾岸のコートジボワールやガーナです。この国の並びから、A はカカオ豆と判断できます(さとうきびも暖かい地域の作物ですが、ギニア湾岸の国が上位に並ぶのはカカオ豆の特徴です)。残りは さとうきび と 大豆ですが、どちらもブラジルが1位なので、1位だけでは決められません。
手順③ 2位以下の国で見分ける


B は2位がインド、3位が中国、4位がタイで、さとうきびの主な生産国の並びに合います。C は2位がアメリカ合衆国、3位がアルゼンチンで、広い農地で大規模に農業をする国が並びます。B がさとうきび、C が大豆です。⑴はイです。B の1位と2位を合わせると、63.1%(38.8+24.3)で世界の6割をこえます。
⑵は、さとうきびの糖分を発酵させてつくるアルコールなので、バイオエタノールです。植物からつくる燃料をまとめてバイオ燃料ともいいますが、問いは「糖分を発酵させてつくるアルコール」を「バイオ」で始まる語で聞いているので、「バイオエタノール」と書きます(物質の名前はエタノールで、さとうきびなどの植物からつくったものをバイオエタノールと呼びます)。最後に「問われているのは作物か、燃料か、国か」を確かめると、⑵で作物名を書くミスを防げます。
答え方の比較:どこでまちがえたか
まず、まちがえやすい答え(×)を並べます。


まちがえやすいのは、「ブラジルといえば大豆」と1位だけで B を大豆にしてしまうまちがいです。C もブラジルが1位なので、1位だけでは決まりません。また、⑵で「さとうきび」と作物名を書くと、問われていることに答えていません。


○の答え方は、上位の国の並びを根拠にし、1位が同じ列は2位以下で見分けています。最後に、問われているものに合わせて答えを書いています。
練習問題(オリジナル問題)
練習問題は、上位5か国の表から農産物を選ぶ⑴、上位4か国の表から気候帯を選ぶ⑵、同じ表から宗教を書く⑶の3問です(解説画像では、⑴の表を帯グラフにしています)。数字はどれも FAOSTAT の2023年の値で、綿花は種を取りのぞいた繊維(繰綿)の生産量です。
ア 小麦 イ 米 ウ 綿花 エ カカオ豆
| 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 国 | 中国 | インド | ブラジル | アメリカ合衆国 | パキスタン | ― |
| 割合(%) | 22.7 | 22.4 | 11.8 | 10.6 | 7.0 | 25.5 |
ア 熱帯 イ 乾燥帯 ウ 温帯 エ 冷帯(亜寒帯)
| 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | |
|---|---|---|---|---|
| 国 | サウジアラビア | エジプト | アルジェリア | イラン |
| 割合(%) | 19.1 | 17.1 | 13.3 | 9.7 |
⑴は、選択肢の作物なら上位にどんな国が入るかを考え、合わない作物を消していきましょう。

⑴はウ(綿花)です。小麦なら、2023年は3位にロシアが入ります。米なら、3位・4位にバングラデシュとインドネシアが入ります。カカオ豆はギニア湾岸の国が上位です。どれもこの表に合わないので、綿花が残ります(中国とインドがほぼ同じ割合で並んでいます)。
⑵はイ(乾燥帯)です。サウジアラビア・エジプト・アルジェリア・イランは、西アジアと北アフリカの、雨が少ない国々です。なつめやしは、乾燥した地域のオアシスなどで、水を引いて古くから育てられてきました。⑶はイスラム教です。西アジアや北アフリカでは、イスラム教を信仰する人が多くいます。
まとめ
大阪府の社会では、世界の農産物・鉱産資源の生産や貿易について、品目や国を見分ける設問が2022〜2026年の5年とも出ていて、取り上げた名前を書く2問の得点率は28.1%と39.0%でした。生産量の統計は、上位の国に州と気候をメモし、作物が育つ条件とつなぎ、1位が同じなら2位以下の国で見分けましょう。最後に、問われているのが作物か・国か・燃料かを確かめてから書きます。
社会の設問別の得点率を見る
この型以外も含めた設問ごとの得点率(5年分)は、社会の傾向記事で一覧にしています。
- 大阪府公立高校入試 社会の傾向(設問別の得点率5年分)
- 社会の資料の読み取り「正しいものをすべて選ぶ」の解き方(連載 社会の2本目)
- 社会の「地形図の読み取り」の解き方(連載 社会の5本目)
- 社会の「雨温図の読み取り」の解き方(連載 社会の7本目)
- 社会の「選挙のしくみ」の解き方(連載 社会の12本目)
解説を読んだあとは、同じ形式の問題を時間を計って解き、理解を確かめましょう。過去問の文章や図は使わず、令和8年度と同じ4大問・40問・90点・40分で書き下ろした模擬問題で、解答・解説つきです。令和8年度に得点率が低かった形(資料の読み取りなど)の類題10問と、5年分の設問別の表をのせた傾向分析レポートもついています。
ほかの教科は 塾講師こうの全商品マップ にまとめています。
noteはWebブラウザから買うと、クレジットカードのほか、携帯キャリア決済とPayPayが使えます。中学生の方は、購入前に保護者の方と相談してください。出題を予想・保証するものではありません。
この記事を書いた人:現役塾講師のこう。大阪の個別指導塾で勤務、中学受験〜高校受験まで指導歴15年以上。X(Twitter)で更新通知/お問い合わせ